Community of BAIT:#003 SUGI

「Community of BAIT」は、スニーカー、ファッション、アート、エンタメ、トイなど、「BAIT」を取り巻くカルチャーに携わるクリエイターや、それに精通したアイコンへのインタビュー連載です。

早くも第3回を迎えた今回は、アーティストのSUGI(スギ)さんのアトリエに訪問しました。SUGIさんは、KANDYTOWNのメンバーやMARTER(JAZZY SPORT)、illmore(Chilly source)らをはじめとするアーティストのカバーアートを手がける傍ら、メンズマガジン、ブランド、企業にも作品を提供するなど、多岐にわたって活動するドローイングアーティストです。また、自身の作品制作や展示にも積極的で、日常の美しさを切り取る詩的な表現で老若男女から支持のある作家でもあります

今回はそんなSUGIさんのアーティスト活動の軌跡をなぞりながら、現在の作風に至った理由、そして「Community of BAIT」の定番であるオリジナルカバーアートのコンセプトなどを伺いました。


ーSUGIさんはいつ、アーティストの道へ進むと決心したのですか?

大学卒業後、ですね。KANDYTOWNをはじめ、周りに音楽活動している仲間やその他目立った肩書きのある人が多かったから、僕も“何者”かになりたくて。

以前、アーティストのマーチャンダイズ制作やデザインをしていた会社で働いていたことがありました。フリースタイルダンジョンでお馴染みの某ラッパーや著名ファンクバンドがクライアントで、社長はデザインをやっている方でした。働いていると、まだ世の中の誰も見たことないデザインに触れる機会も多く、もちろん社長はそれを元にアーティストと打ち合わせをします。その姿を見て、僕も「こんな仕事がしたい」と思うようになりました。だから、最初はグラフィックデザインを勉強していたんです。

ー今の作風から、グラフィックデザインは想像できないですね。

MASATO(KANDYTOWN)のカバーアートをやらせてもらったりもしましたが、他は箸にも棒にもかからず……。だから、大学で少し絵の勉強をしていたので、絵描きに方向性をシフトしたら周りからの評判もよく、現在の作風にたどり着きました。でも、そこから順風満帆なわけではなく、アーティスト活動を辞めようと思った時期もあります。ただ、そんな時に「MUSIC ILLUSTRATION AWARDS 2017」で「BEAMS T」の特別賞を受賞することができて。

ー女性の顔が外れて、その中にビル群が描かれている作品ですよね?

はい。タイトルは、“恋するロサンゼルス”です。僕は、様々な景色をテーマに作品制作をすることが多い作家です。サングラスには夕焼けに染まるヤシの木が映っていますが、これは自然を見ると癒されるという人間の本質を表しています。ですが、普段都会で生活をしている人は、気持ちが窮屈になっていますよね。だから、身体の内側に都会の様子を描き、都会で生きる現代人の二面性を表現しているんです。

ーSUGIさんは人の琴線に触れる詩的な作風でファンが多いと思うのですが、そのようなスタイルはどのように出来上がったのでしょうか?

感受性が豊かなのかもしれません。本当に小さなことも気になるし、喜怒哀楽、日々思うことがたくさんあります。例えば、満員電車に乗っている時、僕の場合は自分がイライラするだけでなく、同じ電車に乗車しているサラリーマンの気持ちも考えたりしてしまうんです。そういう日々感じたこと、思ったことなど印象的な感情を作品に反映させています。

あと、風景を見ることがすごく好きで。綺麗な山や海、それは実際に訪れることもあれば、写真集などで触れることもあります。ただ、風景は自然に限定されるわけではなく、人がいる景色でも良いと思うことは少なくありません。時折、他人とは見ている視点が違うと感じます。あまりにも当たり前に存在する美しい景色や瞬間を作品にすることで、鑑賞してくださる人に忘れかけてた感情や新しい気付きを持って帰ってもらえたら嬉しいですね。

ー作品では、明るい色使いも特徴的ですよね。

自分の好きな色を使うようにしていて、その中にあまり暗いものはありません。僕は物静かなんですが、根は明るいと思っていて。せっかく誰かに作品を見てもらうのであれば、「綺麗」や「楽しい」というポジティブな感情を共有して持ち帰ってもらいたいので、その気持ちの現れなのかもしれません。でも、これからは今まで使ったことのない色にも挑戦してみたいですね。

ー昨年11月には個展“Say hello to him”を開催されましたが、“自分が自分であること”がテーマだったかと思います。

去年の夏頃、ふと自分がどんどん変化していることに気がついて。それと同時に、このままではダメだし、面白みもないし、もっと遠いところを目指さないと、と思ったんです。そこで「自分が自分であるために、絵を描きたい」という感情が芽生え、実現したのが“Say hello to him”でした。

ー作品を見かけることも日に日に増え、客観的にはとても順調に見えます。

絵が上手い人は、五万といます。そういう中で際立つためには、人と違ったアプローチやアイデアが必要だと思うんです。「まだまだこんなもんじゃない」っていう悩みもあって、自分の手を筆代わりにして、作品を制作したりもしました。既存の表現方法でも、自分のエッセンスがプラスされれば、そこにオリジナリティが宿されるという発想ですね。

開催後は本当に色々と反響があって、僕自身も気付きや再確認することがたくさんある、実りの多い展示でした。工夫して、当時の自分を表現できたのかなと。何かや誰かに寄せることはなく、ぶれずに、自分らしくアーティスト活動を続けようという自信にもなったので、今後は今まで振り向いてくれなかった人たちにも振り返ってもらえるようなチャレンジができればと思っています。

ー「Community of BAIT」では毎回、カバーアートを制作していますが、SUGIさんは「MARVEL」からスパイダーマンをピックアップされましたね。これには何か理由はあるのでしょうか?

昔から絵は好きで、暇さえあれば落書きをしていました。実は、従兄弟がアメリカに住んでいて、小学生の頃、よくスパイダーマンの漫画を送ってもらっていました。それを模写したり、オリジナルの漫画を作ったりもしてたんですよ。元々アメコミが大好きで、スパイダーマンの最初の映画は、小学6年生の頃に上映されました。なので、スパイダーマン世代の僕にとっては、並々ならぬ思い入れがあります。

スパイダーマンは大勢の人を救うヒーローですが、その反面、自分に近しい人が救えない切なさがあります。だから、主人公のピーター・パーカーは、下を向いているシーンも多くて。今回は、その特徴的な一幕をスパイダーマンで描きました。僕は先にも述べたように明るい作品が好きで、コミックの表紙にあるような躍動感のあるラフも描いてみたのですが、こういう描写もスパイダーマンのストーリーでは欠かせないパートだと思ったので、僕的には作品愛が表現できたのかなと思っています。

ー「MARVEL」と友好な関係にある「BAIT」がSUGIさんと何かを実現するのは、自然の流れだったのかもしれませんね。

「BAIT」は創業者の好きを集めた、童心をくすぐる素敵なお店で、日本ではあまり例のないお店だと思っています。おもちゃ、スニーカー、アート、そしておもちゃ、みたいな(笑)。フラッと入るだけ入って出てしまうお店もあると思うのですが、「BAIT」は何かと手にとってしまう。収集癖のある僕のような人には、たまらない空間なのではないでしょうか。昔から好きだった「MARVEL」やスパイダーマンをオフィシャルでやれるのは「BAIT」だからこそ。素直に嬉しいですね。


SUGI
ドローイングアーティスト。1990年三重県生まれ。“MUSIC ILLUSTRATION AWARDS 2017″にてBEAMS T賞受賞。これまでにG-SHOCKやルノーの広告、MASATO、Minnesotah(KANDYTOWN)、MARTER(JAZZY SPORT)、illmore(chilly souce)のジャケット、アパレルとのコラボレーションにライブペイントなど枠に囚われない様々なアート表現を展開。その自由・大胆かつ詩的な描写が脳を駆け巡るイラストレーションは、若者を中心に老若男女、ジャンル問わず各方面から注目を集めるアーティスト。
Instagram:@sugi_afro

「Community of BAIT」のアーカイブ記事は、以下リンクからご確認ください。
#001 赤司竜彦(MEDICOM TOY 代表取締役社長)
#002 上岡拓也(イラストレーター)

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